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表面の絶縁物の表面に次第に導電性の通路(トラック)が形成されていく。この現象をトラッキング現象と呼び、そして導電性の通路を構成する物質をグラファイトと言う。(図1-ア)グラファイトがプラグの栓刃間に発生すると、これが電熱器のニクロム線のような働きをし、絶縁材の表面で発熱するようになる。このとき配線遮断器(ブレーカー)は、プラグ部分が異常発熱していても、それにより配線に流れる電流値は配線遮断器の定格以下であり、電熱器を使っている時と同じように正常であると判断するため、グラファイト化が進み大電流が流れて発火し、配線が短絡するような状態になるまで作動しないのである。(図1-イ)

 

三、 対策
トラッキングは、その発生初期には絶縁抵抗値が高いため微弱な電流しか流れず、ジュール熱(電流(I2)×抵抗値(R)×時間)の発生も少ないが、これを繰り返すうちグラファイト化が進み大きな電流が流れるようになり、この電流の二乗に比例して大きく増加したジュール熱により、発火するという経過をたどる。そこで発火する前のトラッキング初期に流れる微弱な電流を検出して、自動的に電気の供給を遮断すれば未然に火災の発生を防止することができると考え、装置を試作し検討を行った。

 

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図1-ア

 

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図1-イ

 

 

 

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